文明の程度は人間界に準じています。灯りは蝋燭《ろうそく》だし、馬車はありますが汽車は通っていません。が、魔法で補っている部分が多々あります。
例えばゲートと呼ばれる魔力で出来た扉は、機能としてはどこでもドアのようなものです。
誰でも開くことができるわけではなく、また繋《つな》ぐことができるのは建物同士、それも双方が繋《つな》ぐことを許可している場合に限ります。
建物同士なら人間界・魔界の差なく繋《つな》ぐことができますが、ノイシュタイン城は勇者が頻繁に訪れる特異性もあって、繋《つな》ぐことを許可していません。
荒技として魔力如何《いかん》で無理やりこじ開けることもできなくはないですが、扉付近の次元が歪んで大変なことになります。
文明以上を魔法で補うのなら全て魔法にすれば、とお思いでしょうが、個々の魔力に拠《よ》るので安定して使えない、という欠点もあります。
人間界と魔界は次元が違います。
全く違う世界、というわけではなく、重なっているイメージでの別世界です。
ノイシュタイン城に異次元の入口が口を開けている、と本文内にありますが、そのような次元の綻《ほころ》びは多くありません。基本的には「|隔《へだ》ての森」を通らなければお互いに行き来することはできなくなっています。
「隔《へだ》ての森」は一見普通の森ですが、あるアイテムを持っていることで魔界への道が通じます(なので人間が入ってもただの森でしかありません)。
そのアイテムも貴族の上位で独占されているため、それが格差のひとつになっています。
聖都。
悪魔による人間狩りが横行する中、この街だけは悪魔避けの結界のおかげで被害がない。
中央に天まで届くような塔があり、塔を中心として放射線状に街路が伸びている。塔にはロンダヴェルグ聖教会本部と各種事務施設、聖女の部屋などが集中している(もし街が襲われた時にも塔だけ死守すれば聖都の機能は保たれるという理由による)。
塔、その他の建物共に白を基調にしており、街路の煉瓦色と木々の緑とのコントラストが美しい。
東西南北に門があり、それ以外は高い外壁で囲まれている。
北門側に武器・防具を売る店が集まっている。
東門側に雑貨、食糧、衣料を扱うショッピングモールがある。
商店や民家、教会などの他に冒険者組合「剣士亭」がある。世界各地の悪魔出没状況はそこでわかるようになっている。
地下には水路がある。
世界各地に点在する、冒険者に対しての依頼をまとめ、斡旋《あっせん》する場所。
冒険者に依頼するのに組合を通さなければいけないという規則はないが、どれを選んでも相場に見あった報酬が受けられるという安心感から、組合に掲示される依頼をこなして生計を立てる冒険者のほうが多い。
なお、依頼は完了した時点で掲示板から外される。これは依頼を掛け持ちで受ける冒険者や、また請け負った依頼が力不足で完遂できなかった時にレベルが上がるまで何年も持ち続ける冒険者が多いための措置。後から挑戦した者が先に完了しても横取りにはならない。
旅から旅の冒険者が大金を持ち歩かずに済むよう、銀行の役割もしている。
金を預ける時に金額を記載した手形を受け取り、その手形で他の組合から金を下ろすことも可能。
但し偽手形による詐欺を警戒してか、預けるほうは楽に預かってくれるが、受け取るほうは手形の他に身分証明がいくつか必要となる。
冒険者以外でも預かってもらえるので、最近では箪笥《たんす》貯金よりは、と預ける民間人も多い。
主な設備は斡旋カウンターと掲示板。
冒険者が多く集まることから、酒場を兼ねている場所もある。
ロンダヴェルグにある冒険者組合は、剣士亭という名の酒場でもある。
グラウスの実家がある町。
夏が涼しい気候のため、療養目的でも多く訪れます。
ロンダヴェルグに隣接している町。
聖都を目指して来たものの、入町証を手に入れることができない人々が集まってできました。
ルチナリスがロンダヴェルグにいる間、グラウスとアンリは|此処《ここ》に家を借り、魔界行きの準備を進めていました。
音楽の町。
港町で昔から交易で栄えていたため、3度にわたり魔族の襲撃を受けました。
2度は復活したものの、3度目は人が離れてしまい、今は廃墟のようになっています。
町の中央に劇場、町外れの高台に劇場主の家があります。
カリンとアルド(Episode1冒頭に出て来る勇者)の出身地。
本作内には出て来ません。
人間界と魔界を|繋《つな》げる道がある森。
本来はもっと数がありますが本作内で使っているのは一箇所だけなので、地図上では|此処《ここ》だけ記載しています。