twitter300字SS様、2015年7月のお題「願い」で書かせて頂いたものです。
ジャンル:オリジナル(まおりぼスピンオフ)
注意書き:BL(鬱注意)
スペース・改行除く300字
「こんな短冊に書いただけで叶うなんて安上がりだね」
その人の指先で、紅い紙切れがひらひらと舞う。
「書くこと当ててみせようか」
何でもわかってるんだよ、なんて言いたげな顔に、
私はペンを持つ手を止めた。
「ずっと俺と一緒にいたい、でしょ?」
間違ってるはずがない、と語るその目が
無性に腹立たしい。
あなたはいつもそうやって私を試す。
今だってわざとその色を選んだのでしょう?
私が嫌いな紅。
あの男を思い出す紅を。
あなたの願いを叶える短冊にまで。
白い首に手を伸ばす。
く、と力を込めるだけで、これは私だけのものになる。
「……あたり?」
その人はふふ、と笑うと目を閉じた。
紅なんて無くなってしまえ。
この世から。あなたの心から。