2017年12月(第三十八回)のお題「贈り物」で書かせて頂きました。
ジャンル:オリジナル
注意書き:ややグロ
スペース、改行を除く300文字。
ストリエ様版があります。
陣を構えて敵軍と睨み合ってから数年が経っていた。
「もうすぐクリスマスだなぁ」
カレンダーに×印をつけながら、兵士のひとりが呟く。
瞬くのは敵国の砲火。降るのは爆撃。白髭と呼んでいるのは敵の将軍。
ただ×印だけが24日に向けてひとつ、またひとつと増えていく。
「子供、今年で3歳だっけ? 何が欲しいって?」
写真でしか見たことがない我が子は最近字を覚えたらしく、たどたどしい字で「サンタにお願いした」と綴ってきたのだが。
「さあな」
帰れない父親はサンタにはなれない。
その時。
上から何かが降ってきた。
爆弾かと思ったそれは……白髭の首。
「HAHAHAHA! メリィクリスマァァス!」
シャンシャンと、鈴の音が遠ざかっていく。