twitter300字ss様のお題「写真」で3作品書かせて頂きました。
「心霊写真」
「空の半円」
「プリクラ」
ジャンル:オリジナル
スペース抜き300字以内。
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心霊写真だよ、と見せられたものには若い女性が写っていた。
背景にあるのは細い枝葉。
写っているとすればそのあたりだろうか。
「んー? 何処に?」
霊なんて見たこともないから興味津津、目を皿のようにして見ているのに、
それらしいものは何処にもない。
ウォーリーを探す時だってこんなに真剣に見やしない。
「いないよ?」
「信じられねぇ! これが見えねぇのかよ!」
ヤバいんじゃね?
なんて馬鹿にするから俺もやけくそ気味に見直す。
だけど、いない。
しょうがない、お手上げだ。と降参すると、
奴はマジかよ、と呟いた。
ん、と差し出され、指でトントンと叩いた先にあるのはあの若い女性。
……待て。
このでっかく写っているのが心霊だって言うのか?
「空にさ、ぐるぅぅって線が出てる写真あるだろ?」
爛々らんらんと目をぎらつかせて何言い出すのかと思ったら、
どうやら星の軌跡を撮影したいらしい。
ぐるぅぅ、って何だよ。それで理解できるのは俺くらいだよ感謝しろ。
と一緒に差し出されたプランを見ると、
このくそ寒いのに山にテント張るとか。ありえねぇ。
「ノリでもさ、よし行こうぜ! って言わない?」
「はあ? 何時間かかると思ってんだよ。ノリだけで付き合いきれるか」
ん、と紙を突き返す。
細かい字。何度も消したあと。
えーと不満を漏らす奴の顔を横目で見ながら、
これ作る時何考えてたんだろうな、なんて思ってしまう俺はこいつに甘い。
きっとこの先も。
「んあぁ! わかった! 行こうキャンプ」
「プリクラ撮らね?」
陸上の試合の帰り。
いつもの口調でそんなこと言うから、
思わず、うん、って言いそうになったじゃないかこの野郎。
違うだろ。
そこは腹減ったからマック行こうぜ、だろ?
なんで男2人でプリクラ撮らにゃいけねーんだよ。
食ったあとでもいいからさ、ってそれ違うから。
プリクラから離れよう、な? という願いも 空(むな)しく
カラフルな機械の箱に押し込まれて。
ラッパ吹いてるクマが飛んでるふざけたフレーム指さして、
あれいいじゃん俺くまもん好きなんだよ、って、
あれくまもんじゃないから。
くまもん飛ばないから!
なんでいきなりプリクラに目覚めちゃったんだ、俺のタイムが悪かったからか!?
次は頑張るから戻ってくれ。頼む!!