2016年9月(第二十五回)のお題「訪れ」で書かせて頂きました。
スペース除く300字。
ジャンル:オリジナル
注意書き:特になし。
……ホラー? には遠く及ばず。
その屋敷を訪れたのは単なる好奇心からだった。
巷(ちまた)で噂のお化け屋敷。
そこに、夏には最適じゃね? なんて軽い気持ちの男が3人。
「肝試しなら可愛い女の子と来たかったなぁ」
「そう言うのは各自で調達してくれ」
とは言え、ここに女が混じった日には肝試しなど二の次になるだろう。
人数が増えれば怖さも薄れる。
むしろいなくてよかったかもしれない。
「廊下、 軋(きし)むな」
「今、なにか聞こえなかったか?」
「なぁ、帰りに飲みに行こうぜ」
懐中電灯の丸い明かりがゆらゆら揺れる。
「なにもいなかったじゃん」
「悲鳴上げたの誰だっけ」
「やっぱ、女の子がなぁ」
「ほら、飲みに行くぞー」
そんなことを言いながら、 各々(おのおの)屋敷を後にする。
各々。4人。
……あれ?