twitter300字ss様、2018年7月のお題『約束』で書かせて頂きました。
ジャンル:織姫と彦星の例の話の二次創作
注意書き:テーマを斜め上に吹っ飛ばしました。
スペース・改行・ルビを除く299字。
雨が降る。
「今年も会えないね」
今日は七夕。
織姫には今年も会えそうにない。
「きみもいい歳だ。僕より素敵な男性がいくらでもいるよ」
『何を言うの!?』
通話口の向こうで織姫が泣いている。
「それは果たして雨のせいですかな?」
その時。
彦星の背後で声がした。
「会えない、ではなく会いたくない、の間違いではないのかね?」
「な、何を証拠に」
「雲は対流圏と呼ばれる最も陸地に近い層にできる。
しかし此処は対流圏のはるか上空。
雨の影響など受けるはずがない!
彼女に新たな恋を勧めるのも、
向こうから別れ話を切り出させるため。違うかな?」
男の追及に、彦星は膝から崩れ落ちた。
「そんな……うまく別れられるいい方法だと思ったのに!」